ジャンプの着地や切り返しで膝をひねり、痛みや腫れが出たことはありませんか。痛みが落ち着いても、「膝が抜けそう」「方向転換で踏ん張れない」と感じる場合は、前十字靱帯の損傷などが関係していることがあります。
部活動や競技に取り組む学生から、社会人のスポーツまで、復帰には膝の安定性が大切です。歩けるようになったことだけで練習を再開せず、けがをした場面と今困っている動作をご相談ください。
このような症状はありませんか?
- 着地や切り返しで膝をひねり、痛くなった
- けがの後に膝が腫れた
- 膝が抜ける、ぐらつく感じがある
- 片脚に体重をかけると踏ん張りにくい
- 方向転換するときに不安がある
- 痛みが軽くなっても、膝の頼りなさが残る
これらはACL損傷だけにみられる症状ではありません。受傷時の音の有無だけでも診断はできません。ご自身で膝をひねったり、ジャンプしたりして確かめることは避けてください。
前十字靱帯損傷とは
前十字靱帯は、膝の関節の中で太ももの骨とすねの骨をつなぐ靱帯です。英語名の頭文字から「ACL」とも呼ばれます。すねの骨が前へずれ過ぎるのを抑え、ひねる動きでも膝を安定させる役割があります。
この靱帯が傷つくと、日常生活では困らなくても、急停止や方向転換で膝が不安定になることがあります。半月板やほかの靱帯を一緒に傷める場合もあるため、膝全体の状態を確認します。
なぜ起こるの?
ジャンプからの着地、急停止、切り返しなどで膝に大きな力がかかり、損傷することがあります。相手にぶつかっていない場面でも起こりますが、接触や衝突を伴うけがでも生じます。
サッカー、バスケットボール、バレーボールなど、走る・跳ぶ・止まる動作のある競技でみられます。競技名だけで原因を決めず、足をついていた向きや接触の有無など、覚えている範囲をお伝えください。
診察・検査
受傷時の動作、腫れが出た経過、膝くずれの有無、今後希望する競技などを伺います。診察では、腫れや曲げ伸ばし、靱帯による支えが保たれているかなどを確認します。
レントゲンではACLそのものは写りませんが、骨折などの確認に役立ちます。ACLや半月板などを詳しく調べるため、必要に応じて連携医療機関でのMRIを検討します。診察所見と画像を合わせて判断し、全員に同じ検査を行うわけではありません。
治療
ACL損傷があるからといって、必ず手術になるわけではありません。年齢や成長段階、普段の活動、不安定感の程度、競技内容、合併する損傷、今後の希望を踏まえて治療を考えます。
保存治療では、膝に負担のかかる活動を調整し、リハビリなどで動きや筋力を整えます。ただし、痛みが引くことと、スポーツ時の膝の安定性が十分に戻ることは同じではありません。膝くずれを繰り返す場合は、練習を続ける前に治療方針を見直すことが大切です。
切り返しを伴う競技への復帰を希望する場合や、膝くずれを繰り返す場合などには、手術を含む専門的な治療が検討されることがあります。治療の選択肢と見通しを確認しながら、方針を考えます。
リハビリテーション
当院のリハビリは、医師が必要性を判断し、指示のもとで理学療法士が担当します。腫れや痛み、膝の曲げ伸ばし、歩き方、筋力などを確認し、状態に合う内容を考えます。
競技への復帰を考える段階では、片脚で支える動きや着地、切り返しなどに対応できるかも重要です。柔軟性や体の使い方も確認し、回復に合わせて負荷を調整します。患部を保護する時期には、状態に応じた患部外トレーニングも検討します。
手術後のリハビリでは、手術内容や一緒に傷めた部分によって進め方が異なります。担当する医療機関で、手術を担当した医師の指示に沿って進めることが大切です。
スポーツ復帰について
復帰は「痛みがない」「歩ける」という点だけでは決められません。診察所見、腫れ、筋力、膝の動きに加え、着地や方向転換で膝を支えられるかを確認します。競技動作への不安もお伝えください。
軽い運動、練習への参加、試合での全力の動作は、それぞれ負荷が異なります。競技特性と回復状況を踏まえ、段階的に進めます。手術後は術式や手術を担当した医師の指示、組織の回復に必要な時間も考慮するため、「術後何か月で必ず復帰」とは決められません。
受診を考える目安
膝をひねった後に痛みや腫れがある、膝が抜ける感じが続く、方向転換で踏ん張れない場合はご相談ください。痛みが軽くなっても、不安定感が残る場合は競技再開前に状態を確認しましょう。
強い腫れや痛みがある、体重をかけにくい、膝を動かしにくい場合は、早めの受診を考えてください。その場で競技を続けて試さず、無理な負担を避けましょう。
よくあるご質問
Q. 痛みが軽くなればスポーツに戻れますか?
痛みの改善だけでは判断できません。膝の支えが十分でないと、切り返しなどで膝くずれが起こることがあります。筋力や動作、不安定感を含めて確認します。
Q. ACL損傷は必ず手術が必要ですか?
必ずではありません。不安定感や競技内容、合併損傷、希望する活動などで方針が変わります。保存治療と手術を含む専門治療のどちらが適しているかを検討します。
Q. 歩けてもACL損傷のことがありますか?
あります。受傷後の痛みや腫れが落ち着き、歩けるようになる場合もあります。歩行とスポーツの切り返しでは負荷が異なるため、歩けることだけで損傷を否定できません。
Q. MRIは必要ですか?
ACLの状態や、半月板などの合併損傷を確認する際に役立ちます。必要性は問診と診察を踏まえて判断し、当院では必要に応じて連携医療機関での検査を検討します。
Q. いつ競技に復帰できますか?
治療方法と回復状況によって異なります。症状、筋力、動作、競技で必要な負荷を確認します。手術後は手術内容と手術を担当した医師の指示も踏まえ、練習から段階的に復帰を考えます。
Q. 手術を受ければリハビリは不要ですか?
手術後もリハビリは大切です。膝の動きや筋力を取り戻し、競技で必要な動作を確認していきます。進め方は手術内容や手術を担当した医師の指示に応じて異なります。
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